Japanese CEOs Lead Foreign Real Estate Co's in Tokyo
日本人トップ開発をけん引、AMBブラックパイン 松波秀明
2005/07/06, , 日本経済新聞 夕刊, 4ページ, , 1195文字
首都圏を中心に需要拡大の追い風が吹く不動産市場。バブル崩壊の後遺症に苦しんできた日本の不動産会社を尻目に、豊富な資金力を背景にした外資系不動産会社が活況を演出している側面もある。こうした外資を支えるのは日本人トップたちだ。
物流施設を専門に開発する米系のAMBブラックパイン(東京・千代田)を率いる松波秀明エグゼクティブディレクター(58)は清水建設の出身。大使館や外資系企業の営業担当をしていた縁で、一九九九年に米プロロジスの日本法人立ち上げに参加。その後、プロロジスのライバル、AMBの対日進出を手掛けた。
プロロジスとAMBは港や空港の近くに大規模な物流施設を建設し、メーカーや運送会社のテナントを誘致する。自前で倉庫を持つのが一般的だった日本の物流業界に保有と利用の分離という米国流を持ち込んだ。「日本企業はなかなか相手にしてくれなかった」が、まず外資系テナントを開拓し認知度を高める戦法が功を奏し、日本企業にも顧客が広がった。
AMBグループの資産のうち日本での比率は五%にとどまる。これを一五%に高めるのが目標だ。ただ、古巣のプロロジスに加え、三井物産や三菱商事なども同様のビジネスに参戦。物流施設に適した土地の取得競争が激化する中、新たな戦略を思案している。
米不動産大手のジョーンズ・ラング・ラサールの日本法人(東京・千代田)を切り盛りするのは、三井不動産で米国駐在を経験した浜岡洋一郎社長(51)。日米双方の不動産業界に精通するキャリアが評価され、ヘッドハンティングの声がかかった。「自由に経営のかじ取りができるのなら」と、経営トップ就任を条件に誘いを受け入れた。
米国の不動産に投資する日本の投資家を募る仕事などを細々と手掛けていた日本法人は、〇〇年の浜岡氏の社長就任を機に、本国での主業務であるアセットマネジメント事業に乗り出した。
アセットマネジメントとは、投資家や不動産のオーナーに代わってビルの収益管理や物件の購入や売却の計画を立てるビジネス。浜岡氏はビル管理会社を買収するなど、矢継ぎ早に業容拡大の手を打ってきた。
香港系の日本パシフィックセンチュリーグループ(東京・千代田)で最高執行責任者(COO)を務める東福寺なおみ氏(41)は日本の不動産会社で外資系企業の営業担当だった時に本社オーナーの李沢楷(リチャード・リー)氏と知り合い、一九九七年に直々にスカウトされた。
〇一年秋にJR東京駅八重洲口に完成した三十一階建てビルのテナント営業は一人でやり遂げた。こうした実績が評価され、リー氏から全幅の信頼を得ている。アメリカンスクール仕込みの英語力が武器だ。
外資系不動産会社は短期の物件売買で利ざやを稼ぐ企業も多いが、東福寺氏は「長期保有を前提に大型物件を一から開発する」と言い切る。リー氏が納得する開発案件のアイデアを練っている。
(経済解説部 伊東浩一)
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