Friday, July 29, 2005

Tokyo Office Market Update: Rents for Smaller Buildings see Bottom; Overall Rise Predicted in 2007

都心の中型ビル賃料、底入れの兆し――ファンド資金で改修進む。
2005/07/29, , 日本経済新聞 朝刊, 31ページ, 有, 1216文字

 東京都心部の賃貸オフィスビル市場で、十階建てほどの中型ビルの賃料に底入れの兆しが出ている。企業業績回復を背景にオフィス拡張意欲が高まり大型ビルの不足感が強い。そこに不動産ファンド資金などを活用し改修した使い勝手のいい中型ビルが登場。大型に比べた割安感もあり、テナント企業の引き合いが増えつつある。
 オフィス仲介の三鬼商事(東京・中央)がまとめた都心五区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の六月末のオフィスビル平均賃料(募集ベース)は、中型ビル(一階当たりの床面積が百六十五平方メートル以上三百三十平方メートル未満)で三・三平方メートル当たり一万三千六百九十九円。昨年六月末からの半年で百六十六円(一・一九%)下落したが、以後の半年では四十円(〇・二九%)安にとどまる。
 「六月から中型ビルの引き合いも目立ち始めた」(飯嶋清社長)。金属加工など中堅メーカーが増床のため求める例もあり港、千代田区の中型ビル需要が増えている。
 生駒データサービスシステム(東京・港)は七月下旬にまとめたオフィス市況調査リポートで、東京二十三区の五千五百棟の平均賃料(小型から大型まで)が二〇〇七年には十五年ぶりに上昇に転じると予測する。「中型ビルの需要拡大」(生駒データの前沢威夫主席研究員)が市況反転の主因とみる。
 背景には大型ビルの不足感が強まり「需要が中型ビルにも向かい始めた」(仲介会社)ことがある。都心の大型ビルの空室率は年初から低下が続き、現在五・〇三%(三鬼商事調べ)。近く需給均衡の目安となる五%を下回る公算が大きい。
 オフィス拡張を目指す企業は大型ビル志向が強い。一方、既存中型ビルは新築大型ビルに比べ設備面で劣りがち。だが、こうした企業の関心を集めるだけの魅力を持った中型ビルもここ一年で登場した。耐震性を高め、床下に電線やケーブルを収納してIT(情報技術)機器を使えるよう改修、利便性を高めている。
 中型ビルは個人オーナーも多く、改修資金を調達できない例が少なくなかった。その改修資金を不動産投資信託(REIT)を扱う投資法人や不動産ファンド運用会社が担い始めていることが最近の特徴だ。
 投資市場では当初、資金力のある大手投資法人が大型ビル(百億―二百億円)を取得する傾向が強かった。ここ一、二年で中堅投資法人の参入が相次ぎ、中型ビル(十億―五十億円)の購入が目立ってきた。ファンド各社は買い取り後に改修、価値を高めて転売して収益を確保している。
 市場では「REITやファンドによる中型ビルへの投資は今後ますます加速する」(アセット・マネジャーズの長谷川拓磨ファンド事業部長)との見方が多い。
 都心では大型ビル建設が相次いでいるが、耐震技術やIT対応といった技術革新が行き渡り、一段の機能刷新は難しくなっている。中型ビルでも改修を十分施せば最新ビル並みの機能を持たせられる。需要も底堅いだけに、大型ビルに続き市況好転の可能性は高い。

東京23区のオフィス賃料、2007年には上昇へ――民間予測。
2005/07/29, , 日経産業新聞, 19ページ, , 528文字

 オフィス調査を手がける生駒データサービスシステム(東京・港)は、東京二十三区のオフィス賃料と空室率(貸室総面積に対する空室面積の割合)について二〇〇九年までの予測をまとめた。企業のオフィス拡張意欲の高まりを背景に、平均オフィス賃料は〇七年に十五年ぶりに上昇に転じるとみている。
 予測は同社が〇四年に二十三区内の約五千五百棟のオフィスビルを対象に聞き取った平均賃料をベースにまとめた。〇四年の平均賃料を一〇〇とした場合、〇六年の九八まで下落が続く。ただ〇七年からは上昇に転じ、〇九年には一〇〇・二と〇四年の水準を上回るとしている。
 業績回復に伴う企業のオフィス拡張意欲が昨年から高まっていることに加え、ビル供給量が〇六年以降は減少することから需給が改善する見通し。
 空室率は〇六年の五・五%をピークに〇七年以降は低下を続け、〇九年には四・二%と需給均衡の目安となる五%を下回ると予測している。
 東京都心部では大型ビル賃料が今春から上昇に転じた。下落が続いている中型ビルについても下げ幅が縮小し、底入れの兆しが出ている。
 同社はオフィス拡張を目指す企業の需要が大型ビルだけでなく中型ビルにも向かうとみており、賃料相場が〇七年に反転する見通しの要因としている。

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