Goldman Sachs Plans Japan's First Hotel REIT
米ゴールドマンが日本初のホテルREITを計画
2005/07/06 Nikkei BP
米投資銀行ゴールドマン・サックスが、ダイエーグループなどから買収したホテルを投資対象にしたREIT(不動産投資信託)の上場準備を進めていることが、日経ビジネスの取材で分かった。ゴールドマン系の特別目的会社が100%出資する運用会社ジャパン・ホテル・アンド・リゾート(東京都渋谷区)が、投資信託・投資法人法に基づく認可を受けた。ホテルだけで組成するREIT商品は日本で初めてだ。
新浦安オリエンタルなど4件
REITは年内にも東京証券取引所に上場する見通し。ゴールドマンは詳細を明らかにしないが、組み入れ対象は、新浦安オリエンタルホテル(千葉県浦安市)やホテル日航アリビラ(沖縄県読谷村)、神戸メリケンパークオリエンタルホテル(神戸市)、なんばオリエンタルホテル(大阪市)の4ホテルが有力だ。
うち「オリエンタル」の名を冠する3ホテルは、巨額の有利子負債と販売不振にあえいでいたダイエーが、リストラ原資を捻出するため2003年にまとめてゴールドマンに売却した物件だ。
新浦安と神戸メリケンパーク、なんば、ホテルセントラーザ博多(福岡市、REIT組み入れ対象外)の4ホテルの合計売却額は約450億円。ダイエー関係者は「したたかな交渉術を見せつけたゴールドマンが底値に近い価格で優良物件を手に入れた」と解説する。
かつてダイエーにとって、ホテルは飽くなき拡大路線を象徴する存在だった。建設費や改装費などが膨らみがちなホテルは一般に、百貨店より投資回収が難しいと言われる。全国各地でホテル事業を展開していた1980〜90年代、ダイエー創業者の中内功氏も口を開くたびに、「ホテルは、よう儲からんなあ」とこぼしていた。
本業の不振が際立つようになり、最終的にダイエーは自力再建断念へと追い込まれるが、ホテル事業は、90年代後半から、キャッシュフローを生み出す体質に変わっていた。
例えば、7月に開業10周年となる神戸メリケンパーク。
年間のブライダル件数は1000件を超え、関西地域ではトップの座を占める。売上高営業利益率も2ケタの水準で、一時期は売却ではなく、単独での株式上場による資金調達スキームが真剣に検討されたほど、その効率経営に定評があった。
同じく7月、開業10年の節目を迎えた新浦安オリエンタルは、東京ディズニーリゾートへの大量の来客需要という強みを持つ。子連れ客に目をつけ、赤ちゃんに配慮した高級客室を新設、競争激化を勝ち抜こうと躍起だ。
ダイエーはすったもんだの末、産業再生機構や丸紅の支援下でようやく再建に動き出したところ。一方、再建のために切り売りされたホテルは今、投資商品になるくらい事業が順調に推移している。
日航系や温泉旅館も買収対象
ゴールドマンのホテル投資は勢いが衰えない。今年5月には合理化を急ぐ日本航空グループから川崎市のシティーホテルを密かに買収。静岡県伊東市のいづみ荘、青森県三沢市の古牧温泉など地方旅館などにも相次いで出資して、話題を集めている。
6月21日、キャナルシティ博多など福岡地域の商業施設を中心に運用する「福岡リート投資法人投資証券」が上場した。商品の多様性は早くも広がりつつある。ホテルREITに続いて、地方の温泉旅館で構成する「湯煙リート」などという変わり種がお目見えするのも、そう遠い日のことではないかもしれない。(馬場 完治)
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